橋詰広場

  橋のたもとにある、ちょっとした空間のことを、橋詰広場 と呼んでいます。

  左の写真は、新潟市の万 代橋のたもとにある橋詰広場です。
  かつて、橋を作る技術が未熟だった頃は、橋詰広場は、自然発生的に存在していました。
  例えば、橋の長さを短くするために、川岸から川の中に向かって、堤防を大きく張り出すように石垣を築くことが、昔はしばしば行われていまし た。右側の図は、それを模式的に描いたものです。この場合、堤防の幅が、橋のたもとでは極端に大きくなってしまうことから、必然的に橋詰に 空間が出現します。
  余談ですが、わが国の地図に使われている橋の記号() は、この図のような橋の形から決められたと言われています。

  また、工費を節約するため、橋の幅を前後の道路の幅より狭くした場合、橋のたもとの角の部分には、通行に使われない空い た空間ができてしまいます。左の写真の万代橋の橋詰広場はこのタイプです。

  橋梁技術の進歩により、このような自然発生的な橋詰広場は“技術的には”不要になってきました。戦後に作られた橋の多く に、橋詰広場がないのは、そのためです。
  しかし、自然発生的に現れたといっても、この橋詰広場は、いろいろな用途に活用されています。例えば、古くは高札場や市場、番屋の設置場 所、最近では地下鉄の出入口や交番、電話ボックスなどの設置場所として、橋詰広場は重宝されています。また、万代橋の例のように、ちょっとした植え込みを 置くと、都市内の小公園としても利用できます。
  このように、橋詰広場は、都市内に残された貴重な空間として利用できるのです。

  この橋詰広場の都市空間としての機能に注目し、かつては自然発生的であった橋詰広場を、最近は意識的に設置するケースが 見られるようになってきました。都市空間としての橋詰広場が復活されてきたのです。

  私たち橋梁研究室では、この、都市内に残された貴重な空間としての橋詰広場の、あるべき姿を考えようとしています。

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